旅立ちのとき
希望と覚悟を持って新しい何かにチャレンジするときの
期待と不安が入りまじった
あの独特の感覚
決断の時を乗り越え
実行に一歩足を踏み出した時
そこに湧き上がる
不安に負けなかった自分を
褒めてあげたいような
覚悟を決めたことで
全身にみなぎる自信のような
あの力強さ
「期待に胸が膨らむ」とはよく言ったもので
胸がいっぱいいっぱいに膨らむような
はちきれそうな思い
でも一方では
慣れないこと、知らないことばかりで
目の前に次々と立ち現れるタスクに
緊張の糸が張り詰め
不安の雲が心を覆う
「大丈夫かな」
「大丈夫、なんとかなるさ」
成田からスリランカまで
長い空の旅
楽ちんな座席に座れるありがたさ
一つ上の待遇に
ちょっとしたエゴが膨らみ
心に変なしこりをつくりかける
どこかでマウントし合うような
比べ合いの世界もまた
人間の一面かもしれないけれど
あれこれ考えるより
今はただこの新しい体験を
全身で感じるだけ
インド洋の空は
日本の空とはどこか違って見えた
空の色
海の色
そして雲の表情
雲はよく
その時必要な何かを
ほんのひと時の姿で
愛情いっぱいに伝えてくれる
期待と不安の両方に
大きな嵐が待っているよと
そして君は
どんな嵐にも負けないで
いや、ときには大負けしても
最期の時まで
この世界を生き尽くすんだよと
そんな初めての旅立ちから
数年の時が過ぎ
新型ウイルス騒動でリアルな旅もしづらく
どこか不完全燃焼な気分が心を覆いがちな時
あらためて旅立ちの心象風景を蘇らせたら
心の雲の隙間から
太陽の光が射し込み始めた
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