僕の世界一周の旅の経験から、旅のヒントやいろいろな気づきをお伝えしています
この記事のテーマは、海外の旅の危険性、安全対策についてです
海外の旅は危険やトラブルと隣り合わせ
日本は世界的に見てとても安全な国なので、日本より治安がよくないと言われる海外に行くときには、強盗や窃盗、詐欺など、どんな犯罪の被害に遭うか分からないと不安になりますよね
また、気候や環境が違う国、特有の伝染病がある地域に行くこともあるでしょうし、海や山での事故も想定される中で、国によっては日本ほど医療体制が整っていないことや、言葉がうまく通じないこともあって、病気や怪我の不安もあります
さらに、旅をしていると、飛行機に乗るときに預けた荷物が出てこないロスト・バゲッジ、宿泊施設や交通機関のトラブル、生活習慣上のトラブルなど、旅特有のトラブルに遭うことも珍しくありません
日本にいると、海外の治安が悪いという情報ばかり目に入ってくるので、いろいろ考えすぎて、海外の旅に出かける気持ちが萎んでくるかもしれません
現に、僕の周りでも、強盗の被害に遭った人は複数いますし、ぼったくりバーや詐欺にの被害に遭った人もいました
しかし、僕は、いろいろ気をつけていましたし、運も良かったのだと思いますが、深刻な犯罪被害には遭いませんでした(細かなトラブルはたくさんありましたが)
病気や怪我、その他のトラブルについては別の記事で書くとして
この記事では、僕の経験をもとに、犯罪やそれに近いトラブルの防止策やその考え方についてお伝えします
どんな安全対策が効果的だったか?
危険なタイミング・時間帯、危険な国・エリアに注意
最も基本的で、重要なことは、危険な時に、危険な場所へ不用意に行かないことです
大きな意味では、国や民族の間で武力衝突が活発化しているときに、その紛争地帯に行くのは控える、仮に行くならば十分に注意するということです
これについては、外務省が海外安全情報として危険な場所についての情報を発出しているので、行く予定の国についてあらかじめ一通りチェックしておきました
小さな意味では、一つの地方や街ごとに、治安が悪いと言われる場所があることも少なくないので、そういう場所には注意しておくということです
一般的に、危険な時間帯は、暗く、人通りが絶えるとき、すなわち深夜ですね
場所によっては、深夜にまでならなくても、夜は危ない、ということもありますので、その土地ごとに、どの時間帯が危ないかを把握するようにしていました
その旅先の危険な場所がどこかは、一概には言えませんが、土地ごとに、「あそこは危ない」と言われるエリアがあるので、そこを把握しておき、危険な時間帯には入り込まないように気をつけていました
どうやって把握するかですが、どこが危険なのかをネットなどである程度調べることもできますし、宿泊先で地元の人や他の旅人に聞くなどして情報を仕入れることもできました
後でも述べますが、なんとなく危ない感じがする、といった自分の感覚を働かせることも重要だと感じました
そして、もし危険な時間帯に危険な場所へ行くのであれば、単独行動ではなく、できるだけ複数人で行動するように意識していました
ここまで述べたようなことを十分に準備できないため、一番危険なタイミングが、新しい土地に到着してすぐ、宿に入るまでの間でした
特に新しい国に到着してすぐは、生情報が少なく、言葉や習慣、現地通過などにも慣れていません
また、交通機関のスケジュールの関係で夜間に到着することもしばしばありましたし、当然ながら土地勘がなく宿までの行き方や交通機関の乗り方にも慣れていません
おまけに全ての荷物を持っているので、当然貴重品も持っていることが見え見えなわけですから、悪いことを企む人から見たら、カモネギ状態に見えると思います
なので、新しい国に到着してすぐの時は、とにかく宿に入ることを第一目標にして行動していました
なんだか緊張しちゃうね
確かに注意は必要だけど
逆にいうと、危険な時間、危険な場所以外は、そんなに危険を感じなかったよ
現地の一般の人たち、特に子供たちだってそこで暮らしているわけだからね
うん、あまり「危険地帯」っていう目で見るのは偏見みたいで違和感があるんだよねー
日本にいたってどこにいたって、危ない目に遭うときは遭うよね
手口を知って用心しておく
典型的な犯罪手口に用心する
詐欺、強盗、窃盗などのよくある手口を知っておき、用心しておくことも、非常に重要でした
このような手口には、土地によって特徴がありますし、流行りのようなものもありますので、それを事前に把握して用心しておくことで、かなりの防止効果があります
例えば、トルコのイスタンブールでは犯人グループの一人が、外国からの旅行客を装って接近し、仲良くなった上で、「いいお店がある」と言ってぼったくりバーに連れて行くという手口が流行っていました
これを事前に知っていれば、誘われてもついて行かないという対応を自信を持って取ることができます
ちなみに、この手口にひっかかると、店を出るときに大勢に囲まれて法外な金額(数十万円)を請求され、手持ち現金がなければATMに連れて行かれて強引に支払わされるということになっていました
同宿の人の中には、ATMの前で犯人たちと戦って逃げてきたという強者もいましたが、このように暴力で戦ったり追いかけて捕まえようとしたりすることは、逆に凶器を持ち出されて命を落とす危険もあるのでやめた方がいいと思います
他の同種被害に遭った人は、警察に訴えて、紹介された交渉人に間に入ってもらい、何割かの金額を返還させたと話していました(交渉人を紹介したのが誰だったかはよく覚えていませんが、日本大使館の人か、地元警察の人かのどちらかだったように思います)
犯人グループは、摘発されても、しばらくするとまた活動を再開するようで、同じパターンの被害が繰り返し発生しているということでした
また、例えばモロッコのマラケシュでは、道が迷路のようになっていて、初めてだと目的地までたどり着くのが大変なのですが、親切を装って道案内を申し出てきた地元の人間について行ったところ、どこだか分からない場所へ連れて行かれてお金を強引に支払わされるという被害に遭った人がいました
このパターンでは、純粋な親切で助けてくれる人もいますので、相手の人間性を見る目が必要ですが、そういう手口もあるということを知っていれば警戒はできるわけです
相手の人間性を見る目を養うことも大切なんだね
やばそうな雰囲気がぷんぷんしてるとわかりやすいけどね
日本語で親しげに話しかけてきたり、やたら作り笑いをしてくるのも要警戒だったよ
グレーな手口、いわゆる「ぼったくり」について
犯罪とまでは言えないけれども、ひっかかるとお金を無駄にしたり、気分が悪くなったりするトラブルもありました
例えば、スリランカで初体験したのですが、勝手にちょっとした親切をしておいて、その後にしつこくお駄賃を求めてくるというパターンはよくありました
単なる物乞いよりも少し進化した形ですが、支払いを断った時の強引さによっては、犯罪に発展する可能性もあります
慣れると、上手に断れるようになってくるのですが、慣れないうちは、揉めるのが嫌で言われるまま支払ってしまったり、激しい言い合いになって気分を悪くしたりすることもありました
チップの文化に慣れていないこともあって、チップが必要な時と単なるゆすりたかり的な時とが区別できず、自信を持って断れないケースもありました
もっと言うと、先進国以外の国では、価格が交渉で決まる場合が多いのですが、街のタクシーや、三輪タクシー(トゥクトゥクとかオート・リクシャーなどと呼ばれるやつ)の料金、観光地によくある馬、ラクダ、ロバ、馬車などに乗った時の料金、土産物屋の価格、観光ツアーの価格なども問題でした
要するに、相場を知らない旅行者、貨幣価値の感覚が違う外国人に対して、法外な値段をふっかけてくることが多く、それを日本人の間では、「ぼったくり」と呼んでいました
中東などでよくぼったくりに遭いましたが、最初の頃は騙されている気がして気分が悪く、ぼったくりとの闘いにエネルギーを消耗しました
しかし、そのうち、「向こうの立場に立ってみれば、定価制ではなく交渉制なので、まずはできるだけ高い金額を提示して交渉を有利に進めるのは当然で、お金を持っている人に高い金額を要求するのも当たり前ではないか」と思うようになっていきました
それからは、被害者的な意識で闘うのではなく、同じ人間同士として価格交渉を楽しむ感覚が大きくなっていきました
できるだけ宿などで相場を聞いておくようにしたことや、交渉の駆け引きにも慣れていったということも良かったと思います
そうやって心の余裕を持って対応すると、お互い険悪な雰囲気にならず、むしろやりとりが面白くなりましたし、断ってもしつこくされなくなったばかりか、そもそもぼったくり目的で声をかけてくる人間も少なくなっていきました
相手も嗅覚が鋭いので、カモになりそうかどうか、ぱっと見の雰囲気でわかるのでしょうね
そして交渉して価格を決めることに慣れてしまうと、逆に定価が決まっていて交渉の余地がない先進国のやり方に違和感を覚えました
交渉して、自分の納得の下で買える方が、対等で自由な感じがしたのです
よく聞くのが、インド、エジプト、モロッコがしつこいぼったくりの多い国だという話だけど。。。
確かにエジプトは慣れていないときに行ったから、最初のうちきつかったけど、あそこで鍛えられた気がするよ
だからか、他はそうでもなかったな
それと強調したいのは、そういう面倒くさいことが多いのは観光客相手に儲けようとしている一部の人たちだけだということなんだ
他の一般の人たちは、むしろ人懐っこくて、親切で、温かみを感じたよ
威嚇と甘言に注意。怪しい相手には毅然として
手口に注意するということと関連しますが、威嚇(脅し)と甘言(甘い言葉)には要注意です
人をコントロールする基本パターンは、脅しで恐怖感・不安感を植え付けておいて、偽りの救いの道(本当は地獄の道)を指し示すこと、あるいは、おだて、甘い言葉、うまい話、お得な話を持ちかけて、プライドや欲を刺激することです
人をコントロールしようとするのは、犯罪の場面だけに限りませんが、犯罪被害やぼったくり的な被害に遭わないように警戒警報を鳴らすための目印として、相手に威嚇の意図、甘言の意図を感じるかどうかは重要でした
オープンハートで率直、誠実な関わり方をしてくる人と、何か企んでこちらの様子をうかがいながら関わってくる人との違いに気づいていくように、感覚を鋭敏にしていくことが大切でした
そして、この人間とは関わらない方がいいと感じたら、毅然と拒否したり、立ち去ったりすることです
相手の機嫌を損ねたり、揉めて面倒なことになるのを恐れたりして、曖昧で優柔不断な態度をとると、相手は強引に行けばなんとかなりそうだと感じてますます押してきます
これはむやみに大声を出したり、喧嘩腰になるという意味ではありません
こちらの固い意志があれば、相手もそれを感じて諦める可能性が大きくなるということです
僕はもともとそういうのが苦手でしたが、旅の中で少しずつ訓練されていった気がします
さっきも出てきた、人を見る目を養うってことに加えて
自分の意思をしっかり持つっていうことが大切なんだね
意識を今ここに、感覚を広く鋭く
これまでのところで、「感覚を働かせる」「感覚を鋭敏にする」などという言葉を使ってきましたが、これは旅の安全のために非常に大切なことだと感じています
世界一周のような長期の旅の中では、日々予想できないような様々なことが巻き起こります
何かのマニュアルに従っていれば安全が確保されるというものではありません
完璧に安全が確保されるマニュアルなど、どこにいてもあり得ませんし、そんなマニュアルがあるとしても、それに従っていたら楽しくなさそうですよね
自分の身の安全は、誰かに頼るのではなく、自分で守るものだということ、そして自分には自分の身を守る力があるのだということを、僕は旅の中で思い出していきました
自分の身を自分で守る力というのは、何も腕っ節が強いということではありません
その基本は、本来、動物ならば皆持っている危険察知能力、危険回避能力だと思います
そして、その能力のベースは、「なんかおかしい」「これは嫌な感じがする」といった感覚的なものでした
言葉で表現するのは難しいのですが、危険察知能力が高い状態というのは、先に起るかもしれないことへの不安でビクビクしている状態ではなくて、意識が今この瞬間に集中されていて、今ここにあるものを広く鋭敏に感じ取っている状態でした
適度な緊張感という言い方もできるかもしれませんが、固くなっている感じではなく、むしろリラックスしていて、体の温度が内側から高まっている感じです
その状態でいると周りがよく見えるし、人のこともよく見えるのです
その土地を感じ、そこの歴史を感じ、そこにある美しさをリアルに感じる、あらゆるものの存在感をリアルに感じるという状態でした
言い換えると、旅の喜びを全身全霊で感じる状態、それが同時に感覚を広く鋭く保ち、危険を察知する能力も最高に高まっている状態だったのです
覚醒状態だね!
たまに調子に乗ってうわついている状態と勘違いすることがあるから気をつけないと
地に足がついて、平静な感覚が大事だよね
貴重品は、分散して、バックアップを備えて
窃盗や強盗などの被害に遭ったときの損害を少なくするために、現金や貴重品は、分散して保管していました
宿に置いておくもの、メインバッグに入れるもの、サブバッグに入れるもの、身につけるもの、身につける中でも見つかりにくいところに隠しておくものと、いざとなったら強盗に差し出していい現金など
また、バッグに入れる際には、誰かが密かにファスナーをひらいて簡単に取れるようなところではなく、鍵がかかるところとか、隠しポケット的なところなど、簡単に盗られないところに入れるようにしました
その意味で、鍵がかかるバッグを選ぶのも大切だと思います
また、現金は盗まれると諦めるしかないので、できるだけクレジットカード、デビットカード、プリペイドカードを活用し、現金の手持ちは最低限にしていました
最低限の現金は、時々ATMで引き出して持つようにしていました
そして、カード類などをとられたりして失くしたときのために、カード番号や緊急連絡先をメモして控えておきました
それと、パスポートをとられたり失くしたりしたときのために、パスポートのコピーは複数枚持っておきましたが、コピーだけ持ち歩く時もありましたし、コピーの提出を求められることもあり、何かと重宝しました
まとめ
旅の安全対策
- 危険なときに、危険な場所へ行かない。行くなら十分に注意する
- 手口を知って用心しておく
- 威嚇と甘言には警戒する
- 意識を今ここに集中して感覚を広く鋭くする
- 貴重品は分散して、パックアップを備えておく
やれる安全対策をやった上で、あとは運命に身を委ねて、旅を存分に楽しみましょう
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