世界一周の旅の中で訪れたいくつもの場所の中から、印象に残ったスポットやそこで感じたことをお伝えしています
今回は、ロシアの旧都サンクトペテルブルクのユスポフ宮殿(モイカ宮殿)についてです
ユスポフ宮殿とだけ聞いてもピンとこないかもしれませんが、ロシア革命の直前まで続いたロシア帝国ロマノフ王朝末期に皇帝に大きな影響力を持ったラスプーチンが暗殺された場所、と聞いて興味を持たれる方も多いと思います
僕も、そこに興味を抱いて、訪れてみました
訪れた時期は2017年12月、ちょうどラスプーチンが暗殺された1916年12月からほぼ101年後のタイミングでした
ユスポフ宮殿とラスプーチンについて
ユスポフ宮殿は、ロシア帝国有数の大富豪ユスポフ公爵家の邸宅だったことから、このように名付けられていますが、モイカ運河沿いにあるので「モイカ宮殿」とも呼ばれています
建築されたのは1770年代から1830年代にかけてで、ユスポフ家のものとなったのは1830年頃からだそうです
ユスポフ家はロシア帝国でも最高クラスの大金持ちで、ロシア各地に多数の宮殿を持っていたので、他の場所にも「ユスポフ宮殿」と呼ばれる邸宅がたくさんあります
グレゴリー・ラスプーチンは、1869年、シベリアの農家に生まれ育ち、結婚まですしましたが、啓示を受けて突然巡礼の旅に出発し、1905年頃にサンクトペテルブルクに来たそうです
サンクトペテルブルクでは不思議な力で人々の病気を治し、神秘主義に傾倒していたアナスタシア大公妃らの信頼を得て皇帝ニコライ2世とアレクサンドラ皇后に紹介されました
ラスプーチンは祈祷僧を名乗り、血友病で苦しんでいたアレクセイ皇太子の病状を改善させるなどして皇帝夫妻の絶大な信頼を得ました
特にアレクサンドラ皇后の信任は厚く、政治への影響力をも持つようになったほか、宮中の多くの女性たちからも信奉されるようになりました
その結果、貴族や議員たちからの妬みと非難の標的となり、実際に暗殺未遂事件も起きるなど、緊張が高まっていきました
最終的に1916年12月、この宮殿の主フィリックス・ユスポフがラスプーチンを宮殿に誘い込み、同調者らとともに暗殺しました
伝えられる暗殺の状況も伝説的です
ユスポフ自身の回顧録などによれば、最初、飲食物に青酸カリを盛ったものの、それを全て食べてもラスプーチンの様子に変化がなかったため、拳銃で心臓などを撃ちましたが、それでも死なず、最後は全身を縛り付けて凍りついたネヴァ川の中に投げ落とした結果、ようやく低体温症で死んだという話です
どこまで真実かはわかりませんが、不思議な魔力を持った怪僧として伝説化される人物だったことは確かですね
ユスポフ宮殿内の様子
宮殿内は、誰でも有料で見学できます
その内部は、皇帝の宮殿であったエルミタージュ美術館にも劣らないほど豪華絢爛たるものでした
どんな様子かイメージできるよう、写真でざっくりとご紹介します
まずは階段
天井から吊るされた豪華なシャンデリア、壁や天井に施されたレリーフなど、装飾全てが豪勢すぎて圧倒されます
大きなタペストリーが飾られた広間には、重厚な気品が漂います
いくつもの部屋が再現展示されていますが、それぞれにインテリアのテーマがセンスよく統一されており、インテリア好きにはたまりません
エルミタージュ美術館と同じように、建物自体が一つの芸術作品です
ホールでは時々催し物があるようです
多数の優れた絵画等美術品のコレクションがあったそうですが、多くはロシア革命後エルミタージュ美術館に移されています
宮殿にはプライベートなユスポフ劇場が併設されています
華やかなりし頃の雰囲気がそのまま残されており、そこにいるだけでうっとりしてしまうくらいでした
モスク風の客間は、黄金色に光り輝いていました
こんな部屋に招かれたら、テンション上がりっぱなしでしょうね
最後はお土産コーナーですが、こんな場所でさえも落ち着いた品のある雰囲気が素敵でした
ツアーを申し込むと、暗殺現場となった地下の部屋も見ることができ、想像上の暗殺状況が人形で再現されているようです
個人で見て回るだけでも感動しましたが、せっかくなら地下室も見てみたかったと思います
リアルタイムの正確な情報は、こちらのユスポフ宮殿公式サイトで確認してください
Google マップでは「モイカ宮殿」として表示されています
まとめ
ロシア、サンクトペテルブルクのユスポフ宮殿(モイカ宮殿)は、ロシアロマノフ王朝時代の裕福な貴族の暮らしぶりや芸術的な装飾を間近に見ることができる上、ラスプーチン暗殺という歴史の舞台を体感できる貴重な場所でした
芸術の感動に身を委ねることと、歴史を感じて擬似タイムトラベルをすることは、旅の醍醐味の一つです
エルミタージュ美術館のあるエリアからも歩いていける距離にあり、数時間あれば見学できるので、サンクトペテルブルクへ行くなら、是非とも訪れたい場所の一つです
それまでは、ラスプーチンについて書かれた書籍を読んで、イメージを膨らませるのも楽しいです
コメント