リアルな旅と同じように
人生の旅路では、出会いと別れが繰り返されます
別れにも、様々な形、そして様々な表情があります
ご縁が深いほど、関わりが長いほどに、別れの悲しみも深く、長く湧き上がり、何度も何度も押し寄せてくるものです
そんな別れも、人生の旅を豊かにする味わいなのだと、ようやく感じられるようになってきた気がします
別れのプロセスもまた、その相手との大切な時間
年齢や病気のために、死別に向けて徐々に時が過ぎていく別れ
お互いの進む道の違い、考え方の違い、感情のすれ違いなどによって、親しい相手との関係を清算するお別れ
そんな、別れのプロセスは、とても豊かです
痛みや寂しさ、悲しみや苦しみを、一つ一つ噛み締めながら別れという特別な一瞬一瞬を体験できるから
その感情と感覚は、この地球で生きているからこそ体験できるもの
別れの寂しさや悲しさが深ければ深いほど、豊かな経験を深く心に刻むことができます
突然の別れは、別れるまでのプロセスこそ経験できませんが
それでも、別れた後で、その事実を受け入れ、消化する長い長いプロセスがあります
別れる相手が人であれ人以外の生き物であれ、別れの時にしか味わえない、深い想いがあります
別れの時だからこそ、輝く思い出が
溢れ出す想いがあります
「あの時、彼・彼女は、こんなにも優しい想いで接していてくれたんだ」
「あの時、彼・彼女は、こんなにも深く愛してくれていたんだ」
「あの時、私も、本当に精一杯の愛をもって接していたんだ」
「私は、本当に彼・彼女に喜んでもらいたかったんだ」
「彼・彼女の、喜ぶ顔を見たくて見たくて、たまらなかったんだ」
「なんて素晴らしい出会いだったのだろう」
「本当に、生まれてきてくれてありがとう」
「出逢ってくれてありがとう」
「愛してくれてありがとう」
そんな想いが止めどなく溢れ出すとともに、涙も溢れ出します
別れのつらさ、悲しさ、寂しさを感じることそれ自体豊かな経験です
が、それだけでなく
別れの時に初めて理解する深い愛の感覚を味わうことができれば
その相手との関係はさらに深まり、広がっていきます
出会いの喜びに負けないくらい
別れの悲しみから広がる感慨は、人生を豊かにしてくれます
そのプロセスもまた、その相手との、大切な時間なのです
別れの魔法で、過去を今この瞬間にも体験できる
過去の思い出が新たな輝きを持つとき
その過去は今この瞬間にあります
今この瞬間に、心の中で生き生きと一つの体験をしているのです
幸福とは
外側にある見かけの条件ではなく
内側にある心の状態なのだとすれば
まさに、過去の思い出が全く新しい輝きを持って蘇るとき
私たちは幸福の中にいます
過去を思い出し、思い出に浸るのも幸せな時間です
が、それだけでなく
別れという魔法の粉を振りかけることで
過去が新たな味わいを持って生き返るのです
その相手との体験に新しい色合いが映し出され
それまでとは違った世界が広がります
どれだけ愛し、愛されていたか
どれだけ一生懸命生きてきたか
初めて心で理解しなおし、体験しなおしています
過去、ダメだと思っていた関係性の意味さえも大きく変わるかもしれません
例えば憎しみが愛に
怒りが感謝に
そうやって更新された新たな内的体験も
その相手との大切な関係性の一部です
そこには過去と現在が区別なく広がる
もう一つの世界が、確かにあります
別れの恐怖に支配されない
別れの悲しみや苦しみを怖れるあまり、出会いや、深い人間関係に対して、臆病な気持ちになることがあります
しかし
別れの体験に向き合い
別れの豊かさを知ることで
別れの怖さに飲み込まれることはなくなるでしょう
ただし、苦しみに伴うある種の快感に酔うのではなく、ただあるがままの感情を受け止めるのです
悲劇に酔いしれると、素顔の相手、ありのままの関係性が消え去り、快感を求めるエゴの妄想だけに支配された世界に没入することになります
怖れずに、ありのままの感情をそのままに感じることこそが、どんな経験からも人生を豊かにするための第一歩です
そして、別れの痛みの先にある豊かさを知ることで
力強く生きていく勇気が湧いてきます
最近の経験から、ふとこんなことを呟きたくなりました
最後まで読んでいただき、ありがとうございました
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